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社内制度をデザイナー視点でサービス改善した話し

つみきには仕事に関連する本を会社の経費で買える「つみきライブラリー」という制度があります。良い制度だと思いますが利用する人が限られていて、チーム内にも浸透していない状況でした。前々からこの制度を気軽に利用できて学びが促進される仕組みにしたいと思っていたため、サービス改善に取り組むことにしました。

既存の制度のインタラクションを見直す

まずは既存の申請プロセスを確認し、利用者にとっての課題点を見つけます。

既存の申請プロセス
1. 利用者が読みたい本を規定のGoogleスプレッドシートに追記。所属と名前、タイトル、購入先、購入理由など
2. 利用者がスプレッドシートのURLとともに、上長とコーポレート部門の購入担当者にメール
3. 上長が承認すると購入担当者がAmazonなどで購入

デザイナーという仕事柄、利用者の申請コストが高い点が気になります。

利用者にとっての課題点
 スプレッドシートとメールそれぞれの入力項目が多い
 2つのツールをまたいで操作するのが手間

この辺りから改善していきます。

非効率な申請プロセスをGASで自動化

今回は関係者への相談なく改善を始めたため、申請フローを一から見直すのではなく、既存のフローと齟齬がないように改善していきます。

1. 入力場所となるGoogleフォームを作成。名前に利用者がログインしているGoogleアカウント名を流用するなど、可能な限り入力項目を削減。
2. Google Apps Scriptを使用し、Googleフォームの投稿後に入力項目を申請用シートに追加。上長に承認を求めるSlackを自動送信。
3. この際、申請した内容を他メンバーからも見えるようにSlack投稿。

利用者が行うのはGoogleフォームの入力だけになり、スプレッドシートへの記載と承認連絡が自動化されました。また今まで申請に必要な連絡は関係者のみに閉じていましたが、これを期に誰もが閲覧できる状態に改めました。理由は後述します。

参考リンク
Google Apps Script(GAS)公式ドキュメント
・ https://developers.google.com/apps-script/ 
・GASはJavascriptをベースにしていてブラウザ上で開発可能なため、JSを少しでも触ったことがある人なら気軽に始められると思います。
TakramのBook Purchase制度
・Googleフォーム+GAS+Slack Botを組み合わせるアイディアはTakramのこの制度を元にしています。https://cast.takram.com/podcast/book1

利用を促す仕組みのデザイン

次に利用を促す仕組みを考えてみます。
インタラクションデザインの観点で制度を眺めてみると、つみきライブラリーは利用者の主体的な行動を必要とする制度であるにも関わらず、利用のきっかけとなる仕組みが見当たりません。アプリを開発しリリースしただけでは利用者が増えないのと同様に、社内制度もつくっただけでは利用されません。適切なタイミングで利用を促されれば、もっと気軽に利用されるはずです。

そこで、利用のきっかけとなる2つのトリガーを考えてみました。

1. 利用者の申請内容をSlackで共有する際、他の人が利用するための導線を設ける

利用者の申請内容の末尾に申請用のGoogleフォームへのリンクを追加します。他の人が制度を利用している様子がわかると、自分も気になって利用してみようと感じるのではないか?という仮説を元にしています。そもそも制度を理解していない新入社員が、自然とその内容を知るきっかけにもなりそうです。

2. 月初に定期的に利用を促すSlackを投稿

また、毎月1日に利用を促す投稿を定期実行します。毎週だと頻度が多く煩わしさを感じそうなので月に一度あたりが適当だと判断しました。また月初めなどキリが良いタイミングは、新しく何かを学び始めるのに良い区切りとなりそうです。

学びを可視化して交流のきっかけをつくる

利用者の申請内容をSlackで共有することには他にも狙いがあります。誰が何を学んでいるかが分かると、興味関心や知識を基にした会話のきっかけに繋がります。

また、普段一緒に仕事をしない縁遠い相手であっても、その人が何に専門性を持ち、何に関心が分かると仕事の相談もしやすくなるものです。こうした情報は、組織の規模が大きくなるほど見えにくくなるため、見える化すること自体に意義があるように思います。

まとめ

以上のような取り組みの結果、チーム内での利用数が大幅に改善しました。

社内制度も仕組みとそれを利用するユーザーの関係に着目すれば、デザイン対象と捉えることができます。チーム内など小規模な範囲で公開すればサービス改善など気軽に実験でき、サービスデザインやインタラクションデザインの知見も深めていけそうです。身の回りの仕組みの改善は、手軽に始められて効果が見えやすいのでおススメです。

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鈴木慎吾 / TSUMIKI INC.

(株)つみき のデザイン責任者。UIを考えたりコードを書いたりします。 https://twitter.com/shingo2000https://www.behance.net/shingo2000https://tsumikiinc.com/

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コメント1件

ちょうど浸透していない社内制度を見直そうとしていたのでとても参考になりました。
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